◆ はじめに
「アウェイゴールで敗退」「アウェイゴールで勝ち抜け」
かつて欧州大会では当たり前のように使われていたこの言葉。
しかし、
2021年を最後に、アウェイゴール制度は正式に廃止されました。
なぜ長年使われてきたこのルールは、姿を消したのでしょうか?
その理由は、サッカーを取り巻く環境の大きな変化にありました。
◆ アウェイゴール制度が生まれた背景
まず、アウェイゴール制度が作られたのは 1960年代。
当時のサッカーでは、アウェイ戦は今とは比べものにならないほど不利でした。
・長時間の移動
・整っていないピッチ環境
・敵地の強烈な雰囲気
こうした条件が重なり、
「アウェイで戦うだけで大きなハンデを背負っている」
という状況だったのです。
そこで考え出されたのが、
「敵地でのゴールに価値を上乗せする」 という救済ルール。
それがアウェイゴール制度でした。
◆ 現代サッカーでは“不利”が小さくなった
しかし時代は進み、サッカー環境は大きく変わります。
・移動は飛行機や新幹線で快適
・スタジアムやピッチは高水準で統一
・VARや審判制度も整備
その結果、
アウェイが「極端に不利」という時代ではなくなりました。
むしろ、アウェイゴール制度は 別の問題 を生み始めます。
◆ アウェイゴールが生んだ“逆効果”
アウェイで1点取ると、
ホームチームは「失点=致命傷」になります。
その結果、
・ホーム側が守備的になりすぎる
・延長を避けるためにリスクを取らない
・攻め合いが減る
といった 消極的な試合展開 が増えてしまいました。
本来、試合を面白くするはずのルールが、
逆にスリルを減らしてしまっていたのです。
◆ UEFAが下した決断
こうした状況を受け、
UEFAは 2021年にアウェイゴール制度の廃止 を決定。
理由は明確でした。
ホームでもアウェイでも
「1点は1点として扱う」 ほうが、
両チームが積極的に攻めやすくなり、
試合の面白さが向上すると判断されたのです。
◆ まとめ
アウェイゴール制度は、
かつては「弱者を救うための合理的なルール」でした。
しかし、
時代が変わり、環境が整った現代では、
その役割を終えた存在になったのです。
アウェイゴール廃止は、
現代サッカーに合わせたアップデート。
サッカーが常に進化し続けている証とも言えるでしょう。