サッカーでは当たり前に見えるPK。しかし、なぜ距離が11mなのか? と聞かれると説明できる人は多くありません。
実はこの11mには、深い歴史と計算が隠されています。そこで今回は、PK誕生の背景から距離が決まるまでの流れを詳しく解説します。
◆ PKは最初から存在しなかった。しかし、問題が起き始めた
サッカーが生まれた19世紀初期、実はPKという制度そのものがありませんでした。
ところが、試合が進むにつれて不公平なプレーが増えていきます。
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ゴール前での“わざとハンド”
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決定機を潰す“悪質ファウル”
これらは、当然ながら試合を大きく左右します。
そのため、「重大な反則に対して強い罰則が必要だ」という声が世界中で高まることになります。
◆ 1891年、ついにPK制度が誕生。しかし距離は未決定だった
そこで1891年、初めてPK制度が導入されました。
とはいえ、導入当初はまだ距離が決まっていませんでした。
「近いと簡単すぎる」
「遠いと罰として弱い」
こうして距離の設定は、議論が必要な大問題になっていきます。
◆ 候補に上がったのは10m・11m・12m。では、なぜ11mなのか?
議論を重ねた結果、最終候補は以下の3つになりました。
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10m
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11m
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12m
ここで重要なのが、当時のゴールサイズやキーパーの反応速度です。
なぜなら、これらの要素がPK成功率に直接関わるからです。
さらに、罰則として妥当であることも必要でした。
簡単すぎてもダメ、難しすぎてもダメ。
こうした検証を経て、
「GKがギリギリ触れるか触れない絶妙な距離」 として11mが選ばれることになったのです。
◆ 一方で、イギリス式“12ヤード”の影響も大きかった
しかし、距離が11mになった理由はもう一つあります。
サッカー発祥国イギリスでは、距離の単位が“ヤード”でした。
そのためPKは 「12ヤード」 と定められ、
これをメートル換算すると 約10.97m=11m になります。
つまり、歴史的にも文化的にも11mが自然な選択だったと言えるのです。
◆ まとめ:11mは、計算し尽くされた絶妙な距離だった
PKの11mは、単なる数字ではありません。
むしろ、
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不公平を正すための制度
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GKの反応とゴールの大きさのバランス
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イギリス式12ヤードの文化
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公平性と緊張感の両立
といった複数の要素が絡み合って決まった、非常に理にかなった距離なのです。
だからこそ、今でもPKは“11m”として世界中で統一され続けています。
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