◆ はじめに
サッカー観戦をしていると当たり前のように目にする、
イエローカード(警告) と レッドカード(退場)。
しかし、
「なぜ警告は黄色で、退場は赤なのか?」
と考えたことはあるでしょうか。
実はこの2色、サッカー独自の発想ではありません。
そのルーツは、私たちの生活に身近な “あるもの” にありました。
◆ カード制度がなかった時代の問題点
もともとサッカーには、カード制度は存在していませんでした。
1960年代まで、審判は 身振り手振りや口頭 だけで判定を伝えていたのです。
ところが国際大会になると、
・言語が通じない
・観客から見えない
・選手が判定を誤解する
といった問題が頻発しました。
そこで、「誰が見ても一瞬で理解できる方法」が求められるようになります。
◆ 発想のヒントは“交通信号”
この課題を解決したのが、当時のFIFA審判委員長 ケン・アストン。
彼はある日、ロンドンの街を走る車の中で信号機を見て、ひらめきました。
-
黄色 = 注意
-
赤 = 止まれ
この意味は、国や言語が違っても世界中で通じます。
「これをそのままサッカーに使えばいい」
そう考えたのです。
◆ イエローとレッドに込められた役割
こうして誕生したカード制度では、
・イエローカード:危険なプレーに対する警告
・レッドカード:プレーの完全停止=退場
という役割が明確に定義されました。
重要なのは、
色そのものにサッカー文化的な意味があったわけではない、という点です。
誰が見ても直感的に理解できることが、最優先されたのです。
◆ なぜ今もこの色が使われているのか
その後、サッカーは世界中に広まりましたが、
イエローとレッドは今も変わらず使われ続けています。
なぜなら、
この2色の組み合わせが 最もシンプルで、誤解が生まれにくい からです。
映像越しでも、スタジアムの遠くからでも、一瞬で意味が伝わります。
◆ まとめ
サッカーのイエローカードとレッドカードは、
単なる慣習ではなく、合理性から生まれた発明 でした。
交通信号という世界共通のサインを取り入れることで、
サッカーはより分かりやすく、より公平なスポーツへと進化したのです。
次にカードが提示されたときは、
「これはサッカーの信号機なんだ」
と思い出してみてください。
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